BEPS
を踏まえた移転価格文書化対応及び
海外子会社管理の在り方について
平成
27
年
3
月
経済産業省
貿易経済協力局
貿易振興課
1.
BEPS
行動計画
2.行動
13
の枠組
3.経産省研究会報告書の概要
3
-
1.研究会の概要
3
-
2.研究会開催の背景(経済界の懸念)
3
-
3.主要論点
①
国際交渉
②
国内法制化
1.
BEPS
行動計画
BEPS
プロジェクトの概略
○リーマンショック後の財政悪化や所得格差の拡大を背景に、一部の欧米多国籍企業が然るべき国で適
切な納税をしていないことが英国議会等において政治問題化したことを契機として、税制の隙間や抜け
穴を利用した租税回避行為を防止するため、各国が協調し制度調和を図るべく、
OECD
において
BEPS
プロジェクト
(
Base Erosion and Profit Shifting
、税源浸食と利益移転)が発足した。
○
2013
年
7
月に策定された『
BEPS
行動計画
』において、
15
項目について問題提起されており、その検討
の結果として
2014
年
9
月に報告書第一弾が公表された(最終報告書は
2015
年
12
月に公表予定)。今後、
これを踏まえて各参加国は国内法制の整備を行うこととなる。
○
BEPS
プロジェクトには、
OECD
諸国のみならず、
OECD
非加盟の
G20
メンバー
(中国、インド、ロシア、
アルゼンチン、ブラジル、インドネシア、サウジアラビア、南アフリカ)も議論に加わっている。
OECD租税委員会の組織図
行動 計画
概 要
報告書等 公表期限
1
電子商取引課税
電子商取引により、他国から遠隔で販売、サービス提供等の経済活動ができることに鑑みて、電子
商取引に対する直接税・間接税のあり方を検討する報告書を作成。
2014年9月
2
ハイブリッド・ミスマッチ取決めの効果否認
ハイブリッド・ミスマッチ取引とは、二国間での取扱い(例えば法人か組合か)が異なることを利用して、
両国の課税を免れる取引。ハイブリッド・ミスマッチ取引の効果を否認するモデル租税条約及び国内 法の規定を策定する。
2014年9月
3
外国子会社合算税制の強化
外国子会社合算税制(一定以下の課税しか受けていない外国子会社への利益移転を防ぐため、外
国子会社の利益を親会社の利益に合算)に関して、各国が最低限導入すべき国内法の基準につい て勧告を策定する。
2015年9月
4
利子等の損金算入を通じた税源浸食の制限
支払利子等の損金算入を制限する措置の設計に関して、各国が最低限導入すべき国内法の基準に
ついて勧告を策定する。
また、親子会社間等の金融取引に関する移転価格ガイドラインを策定する。
2015年9月
2015年12月
5
有害税制への対抗
OECDの定義する「有害税制」について
①現在の枠組みを十分に活かして(透明性や実質的活動等に焦点)、加盟国の優遇税制を審査する。
②現在の枠組みに基づきOECD非加盟国を関与させる。
③現在の枠組みの改定・追加を検討。
2014年9月 2015年9月 2015年12月
6
租税条約濫用の防止条約締約国でない第三国の個人・法人等が不当に租税条約の特典を享受する濫用を防止するためのモデル条約規定及び国内法に関する勧告を策定する。
2014年9月
7
恒久的施設(PE)認定の人為的回避の防止
人為的に恒久的施設の認定を免れることを防止するために、租税条約の恒久的施設(PE:
Permanent Establishment)の定義を変更する。
2015年9月
BEPS
行動計画の内訳
行動 計画
概 要
報告書等 公表期限
8
移転価格税制(①無形資産)
親子会社間等で、特許等の無形資産を移転することで生じるBEPSを防止する国内法に関する移転
価格ガイドラインを策定する。
また、価格付けが困難な無形資産の移転に関する特別ルールを策定する。
2014年9月
2015年9月
9
移転価格税制(②リスクと資本)
親子会社間等のリスクの移転又は資本の過剰な配分によるBEPSを防止する国内法に関する移転
価格ガイドラインを策定する。
2015年9月
10
移転価格税制(③他の租税回避の可能性が高い取引)
非関連者との間では非常に稀にしか発生しない取引や管理報酬の支払いを関与させることで生じる
BEPSを防止する国内法に関する移転価格ガイドラインを策定する。
2015年9月
11
BEPSの規模や経済的効果の指標を政府からOECDに集約し、分析する方法を策定する2015年9月
12
タックス・プランニングの報告義務タックス・プランニングを政府に報告する国内法上の義務規定に関する勧告を策定する。 2015年9月
13
移転価格関連の文書化の再検討
移転価格税制の文書化に関する規定を策定する。多国籍企業に対し、国毎の所得、経済活動、納税
額の配分に関する情報を、共通様式に従って各国政府に報告させる。
2014年9月
(2015年2月に追加
報告書を公表)
14
相互協議の効果的実施国際税務の紛争を国家間の相互協議や仲裁により効果的に解決する方法を策定する。 2015年9月
15
多国間協定の開発BEPS対策措置を効率的に実現させるための多国間協定の開発に関する国際法の課題を分析する。その後、多国間協定案を開発する。
2014年9月 2015年12月
BEPS
行動計画の内訳
各国の税務当局に対する新たな資料の提出義務が課せられるため、我が国経済界の関心が最も強い項目。
7
○移転価格税制とは、海外の関連企業(例えば子会社)との取引を通じた所得の海外移転を防止するため、
当該取引が、通常の第三者との取引による取引価格で行われたものとみなして所得を計算し、申告額と
異なっていた場合に追徴課税をする制度。
移転価格税制の適用の例
第三者
仕入
80
a社 (親会社)
販売
90
b社 (関連企業)
A国
法人税率40%と仮定
B国
利益:10
税額:10×40%=4
利益:20
税額:20×40%=8
(参考)移転価格税制とは
1.a社による申告
2.税務当局による認定
a
社から
b
社への販売(
90
)を、
<各法人>
③ローカルファイル
:
個別企業の具体的取引に係る資料
究極の親会社
子会社
子会社
孫会社
孫会社
孫会社
<国別報告書>
対象年度 :2016年1月1日以降に開始される事業年度
(提出期限は事業年度終了から1年後)
対象企業 :前事業年度の連結グループ年間売上高が、7億5,000万ユーロ以上
(為替レートを133円/ユーロと仮定すると約1,000億円)
※その他の免除規定を設けることは不可
資料の取扱い:「守秘、整合性、適正な使用」を前提とすることにコミット
使用範囲 :概括的な移転価格リスクの評価のみならず他のBEPS項目(例:CFC税制)
に関するリスク評価にも使用可
<マスターファイル、ローカルファイル>
※対象年度、対象企業等について、特段明記されていない
1.作成文書
2.対象等
<究極の親会社>
①国別報告書
:
グループの国別での財務情報等
②マスターファイル
:
グループ全体の基本情報や事業活動、移転価格ポリシー 等(記述式)
<国別報告書>
原則、『条約交換方式』(租税条約に基づく自動的情報交換方式)
一定の条件下
※
において、『第二の方法(=子会社方式)』が適用される。
具体的な適用については、2015年4月までに「実施パッケージ」として策定予定。
<マスターファイル>
『子会社方式』(海外子会社を経由した情報共有方式)
<日本> <海外>
国税庁
親会社 子会社
『条約交換方式』(国別報告書)
『子会社方式』 (国別報告書における『第二の方法』 、マスターファイル)
税務当局
3.海外税務当局への情報共有方式
行動
13
の枠組②
※一定の条件とは、
a :税務管轄地が多国籍企業グループの究極の親会社に対して国別報告書を要求していない場合
b :既存の国際合意の下で、国別報告書交換の根拠となる権限ある当局間の合意が適時になされていない場合
11 国別報告書
の項目
総収入(非関連者向け、関連者向け、総額)
税引前利益
法人税(納税額)
法人税(発生税額)
資本金
利益剰余金
従業員数
有形資産(現金及び現金等価物を除く)
構成事業体の一覧
構成事業体の税務管轄
税務管轄が事業体の所在地とは異なる場合の税務管轄
構成事業体の主な事業活動
○国別報告書は、多国籍企業グループが事業を行う各国における国別の所得、納税額、経済活動の
グローバル配分に関する情報等について、標準様式に記載したもの(具体的項目は下記参照)
。
○本文書は関係する各国税務当局に共有され、概括的な移転価格リスク評価の際に用いられる。ただ
し、本文書に記載されている所得のグローバル配分のみを理由として移転価格課税を行ってはなら
ないことが明示されている。
組織のスト ラクチャー
多国籍企業(以下、MNEという)の法的及び所有関係のストラクチャーと事業体の所在地を示した図
多国籍企業 の事業概要
営業収益の重要なドライバー
グループの売上順に主要な5つ、及びグループ売上高の5%以上を占める製品及び/又は役務提供のサプライチェーンの概
要。図表等の形式で説明されてもよい
MNEグループ内の企業間の重要な役務提供取極め(R&Dサービスを除く)に関するリスト及び概要説明、重要な役務を提供す
る主要な拠点の機能の説明、及びサービスコストの分配とグループ間の役務提供の価格決定に関する移転価格ポリシー
上記2点目に関する、主要な製品及び役務提供の主要な地理的マーケットの説明
文書による簡潔な機能分析(グループ内企業の価値創造(Value creation)に対する主要な貢献の説明、つまり、果たしている
主要機能、負担している重要なリスク及び使用している重要な資産) 対象年度における重要な事業再編取引、事業買収、事業売却の説明
多国籍企業 の無形資産
無形資産の開発、所有、活用に関するMNEの包括的戦略の概要(主要なR&D施設とR&Dマネジメントの所在地を含む)
MNEグループの移転価格を鑑みるに当たって重要な無形資産(グループ)及びそれらの法的な所有事業体リスト
無形資産に関係する事業体間の重要な契約リスト(費用分担契約、主要な研究の役務提供契約、ライセンス契約を含む)
R&Dと無形資産に関するグループ内移転価格ポリシーの概要
対象年度中における無形資産の重要な持分の譲渡に関する概要説明(関係する事業体、所在地国及び対価を含む)
多国籍企業 のグループ 内金融活動
グループの資金調達方法の概要(非関連者との重要な資金調達取極めを含む)
MNEグループ内で主要な金融機能を果たす企業の特定(当該企業の設立に係る法施行国(どの国の法律に基づき設立され
たか)及び実質管理地国の情報を含む)
金融取極めに係るグループ内の一般的な移転価格ポリシーの概要説明 多国籍企業
の財務状況
対象年度のMNEの連結財務諸表、用意されていなければ財務報告、規制、管理会計、税務、その他の目的で作成されたもの
MNE APA
○マスターファイルは、税務当局が重要な移転価格リスクを特定できるよう、多国籍企業グループのグローバ
ルな事業活動やポリシーに関する概要を記載したもの(具体項目は下記参照)。
3.経産省研究会報告書の概要
14
○行動
13
を受けた国内外の制度設計に対する産業界からの意見を集約するとともに、今後、日本企業に
おいてどのような行動
13
への対応が求められるか、いかなる海外子会社管理を行うべきかといった論
点を議論すべく、経産省において研究会を開催。
< 有識者 >
青山 慶二 早稲田大学 教授 (座長)
北村 導人 西村あさひ法律事務所 パートナー弁護士
吉村 政穂 一橋大学 准教授
< 産業界 >
菖蒲 静夫 キヤノン(株) 税務担当部長
川﨑 直行 (株)日立製作所 財務戦略本部長
合間 篤史 新日鐵住金(株) 財務部上席主幹
栗原 正明 東レ(株) 税務担当部長
船橋 浩一 アステラス製薬(株) 税務グループ統括部長
槇 祐冶 トヨタ自動車(株) 経理部付主査
八若 和紀 三井物産(株) 経理部税務統括室長
渡會 直也 日東電工(株) 税務部長
(敬称略)
3
-
1.研究会の概要
1.研究会メンバー
2.スケジュール
第1回 2014年 10月
第2回 〃 11月
第3回 〃 12月
第4回 2015年 1月
第5回 〃 2月
(3月末に研究会報告書取りまとめ)
※研究会の他、①海外子会社管理の現状、
②新興国における課税問題等、に係る
企業アンケートを実施。
○日本企業はタックスプランニングに消極的とされている現状を踏まえれば、行動13により事業環境のイコール
フッティングが改善すれば、日本企業にとってメリットが生じる。ただし、各国における履行の程度には不確定
要素あり。
○また、行動13により企業の疎明責任が重くなるため、従来以上にコストとリスクを抱えることとなる。特に、以
下の点が懸念される。
①事務負担の増大 :契約のみならず経済実態を含めた疎明行為が求められる可能性が高い。多くの日本
企業の本社税務人員は少なく、また企業グループ全体のガバナンスも不十分であると
指摘されるところ、移転価格関連文書作成の手間に加え、より詳細なグループ全体の
実態把握・マネジメントが必要となる可能性。
②課税リスクの増大 :昨今、新興国を中心に、日本企業の進出先国の税務当局から不当な課税を受ける
ケースが頻発している。行動13によって従前以上の情報が各国税務当局に共有される
ことにより、こうしたケースが助長される可能性。
○BEPSプロジェクトの本来の趣旨は、一部の欧米多国籍企業が行っていた過度な租税回避行為を防止すべく、
国際課税ルールを見直し、各国税務当局が協調することを目指すもの。
○中でも行動13は、租税回避行為防止ツールの一つである「移転価格税制」を適正に執行するために必要とな
る、企業グループ内取引の全体像を各国税務当局に提供することを目的としている。
15
3
-
2.研究会開催の背景(経済界の懸念)
○行動
13
の本来趣旨
○現実に懸念される影響
国別報告書・マスターファイル共通
・究極の親会社所在国の国内法の規定(例:対象となる「構成事業体」の範囲
等)や究極の親会社
が採用した会計基準等に基づいて作成することを確認する
(親会社所在国の適用開始時期まで
他国当局も適用を猶予することを含む)
・各国税務当局において情報を適切に管理する体制を整備し、かつその実効性を担保する
・遵守規定(守秘、整合性、適切な使用)に係るモニタリング体制を早急に構築する
・遵守規定違反等に係る紛争解決手段を用意する(第三者機関の設置等)
・追加的な情報要請の際には、租税条約上の情報交換規定の利用を徹底する(参考
2
参照)
(海外子会社所在国の税務当局から親会社への直接要請の禁止)
国別報告書
・『条約交換方式』ではなく、『第二の方法』が適用される場合の条件をより明確化する
・『実施パッケージ』の法的な位置づけ(効力、義務等)を明確にする
マスターファイル
・統一的なガイドライン等を策定する
研究会の指摘
○行動
13
の具体的な制度設計(実施パッケージの策定)については、
2015
年
4
月まで議論を継続
することとなっているところ、引き続き
企業の事務負担の抑制
及び
税務当局における適切な情報
管理
を確保することが必要。
17
○新興国において、担当官のノルマや自国の税源確保等のため、不適切な税務執行がなされている
との報告が多数寄せられている。
○行動
13
においては、従前以上の情報を各国税務当局に与えることとなるため、これが安易に利用
され上記のような不適切な税務執行が助長されることが懸念される。
PE認定の事例 移転価格課税の事例
無形資産の現地子会社への帰属
中国におけるマーケット開発は、現地子会社が
自身のノウハウを用いて行っているため、無形
資産は中国側にある、と中国税務当局から指摘
された。
現地子会社・第三者に対するPE認定
現地子会社が、親会社から独立して業務を行っており、
また設立以来特段の業務変更が無いにも係わらず、突
然インド税務当局から、「当該子会社は何のリスク負担
もしておらず、親会社の取り次ぎに過ぎない」等と主張
され、親会社のPEであると認定された。
※親会社と資 本関係の ない第三者( 親会社の 製品を現地で 販売)が、親会社の契約獲得に貢献しているとして親会 社のPEと認定されるケースもある。
<日本>
国税庁
海外子会社 税務当局
• 基本的に海外子会社側で保有 する情報・書類のみで提出要請 に対応する。
• 上記範囲を超える情報・書類に ついては、税務当局を通じた提 出要請がなされることが適当。 相手国において守秘が担
保されているか、国税庁が 相手国からも同様の情報を 入手したいか等の事項を考 慮して、提出の是非を決定 する。
<海外>
③(必要に応じ)
提出要請
②提出要請
①税務調査及び
資料の提出要請 ⑤提出
④提出
親会社
追加情報の提出・共有の流れ
○国別報告書及びマスターファイルについては標準様式が定められているが、国によっては税務当
局が標準様式以上の情報を要請する可能性がある。
○その場合、海外子会社所在国の税務当局が、文書の作成主体である究極の親会社に対して直接
情報提出を要請することも想定される。これは、課税権の域外適用の恐れがあり、かつ親会社の事
務負担が著しく増大する懸念があるため、このような状況を確実に防止する必要がある。
○したがって、追加情報要請については、今まで通り租税条約上の情報交換規定を用いて行うことを
明確にする必要がある。
19
○国内法制化に当たっては、日本企業における
準備期間の確保と事務負担の軽減
を考慮する必要が
ある。特に、国別報告書・マスターファイルについては、リスクアセスメントを目的とした概括的な情報
の提供であることから、具体的な記載振りは、原則として
納税者側の裁量に委ねる
ことが適当。
○標準様式で明らかになっていない事項の記載振りについては、
9
月成果物に即して国内法で定義付
けされるものを除き、納税者の裁量に委ねる
3
-
3.主要論点
②
国内法制化
○国別報告書
○作成義務を課し、求められた段階で提出することとする
○作成義務者を限定する(海外売上高比率等を考慮)
○文書作成期限について配慮する
○英語での作成を基本とし、翻訳については税務当局の求めに応じて対応する
○マスターファイル
○現行の移転価格税制に係る規定を活用し、新たな作成義務を課さない
○ローカルファイル
○行動
13
への対応を含めた「税務コンプライアンスの遵守」が一層重要となる中で、事務負担が必然
的に増大することに鑑み、親会社の税務部門の増員及び子会社からの情報収集・管理体制も再考
すべき。
○これを契機として自社の税務組織を見直すことで、行動
13
への対応に留まらず、従前からの懸案
事項(新興国における課税問題等)への対処も改善する可能性あり。
○
BEPS
プロジェクトで問題視されているのは、「法の趣旨に反する節税行為」であり、各国における
優遇税制のように当然に享受すべき恩典の活用とは一線を画すもの。この差異を認識し、後者のよ
うな恩典措置については、国際競争を勝ち抜くためにむしろ有効に活用すべき。
親会社の税務部門の現状
親会社の税務部門の人数 親会社における海外子会社サポート人数
3
-
3.主要論点
③
企業対応
5社
20社
7社
6社
2社
1人以上5人未満
5人以上10人未満
10人以上15人未満
15人以上20人未満
20人以上
3社
23社
12社
2社
0人
1人以上5人未満
5人以上10人未満
21
税務リスクの特定
税務リスクの分析
原因分析
対策の検討・実行 情報収集
税務リスク評価を実施するために必要となる情報の収集
(例:子会社の営業利益率、他の海外子会社と数値が異なる場合のその要因、 各国の税制の概要、税務調査の状況等)
税務当局の観点を踏まえた税務リスクの評価
(例:無形資産と所得配分の整合性の確認、過去の税務調査での指摘事項の是正 の確認等)
各国移転価格税制が求める取引価格と現状との差異の認識
税務リスクは、以下3つに分類し整理する必要
①事前に認識でき、且つ対応可能なリスク(ミニマイズする努力が必要) ②事前に認識できるが、対応が困難なリスク
(問題発生時に速やかに最善の対処を取るための準備が必要) ③事後的に認識されるリスク(事後的に個別対処及び再発防止が必要)
税務リスクの発生原因の分析及び特定
(例:移転価格ポリシーの不存在、運用上の不備、必要な情報を収集するための 体制の未整備、税務調査の執行状況の変化・強化等)
税務リスク発生原因に対する対策の検討及び実行
(例:移転価格ポリシーの策定、ポリシーの周知徹底、レポーティングラインの整 備、ITシステムの導入、商流の再検討、事前確認(APA)の取得等)
(1)情報収集
(2)分析評価
(3)税務リスク
マネジメント
3
-
3.主要論点
③
企業対応(リスク管理作業フロー)
○日系多国籍企業
60
社程度を対象(回答企業数:
41
社)とし、現状の社内体制及び今後懸念される
事項を中心に、
2014
年
9
月の行動
13
報告書公表後にアンケート調査を実施。
海外拠点から親会社への報告内容
41
0
有 無
7
34
有 無
37
4
有 無
31
10
有 無
17
24
有 無
19
22
有 無
海外子会社の移転価格文書の把握 海外子会社における税務調査に対する日本親会社の関与
1社
26社
4社
7社
3社
定期的な報告制度がある
日本法人から海外拠点へ依頼し収集する
海外拠点からの任意の報告に任せている
海外拠点で保管しており日本法人で収集 していない
その他
32社 4社
1社
海外拠点が主体的に調査対応を行い、親会社は あまり関与しない(例:報告のみ受ける)
管理会社が主導的に調査対応を行い、親会社は あまり関与しない
その他
①財務 ②納税状況 ③人事 ④事業活動変更等 ⑤無形資産 ⑥外-外取引
海外拠点への親会社の関与
23
(1)移転価格ポリシー関連
(移転価格ポリシーの周知・運用)
移転価格ポリシーをグループ会社の人間がいつでも見られるように、社内イントラに日本語版、英語版を掲載。併せて、 本社税務部門で主要子会社のセグメント単位での損益状況を半期毎にチェックし、移転価格設定に問題があると思わ れる事業部門、子会社には個別に事業部門長等宛てにアラームを発信。
(2)人材関連
(人事ローテーション・税務人材の育成)
税務は高度な知識と経験が求められることから、スペシャリスト育成のため、ローテーションしない税務スタッフを配置。 (海外勤務経験者の活用)
海外勤務経験者は現地で移転価格や課税問題などについて真っ向から取り組んでおり、そのインパクトや大変さも十 分理解していることから、そのような人材に移転価格を含む国際課税を担当させている。
(勉強会の実施等)
各部門を対象に、税務・経理についての社内研修を年に数回行っている。研修講師には入社4、5年目の社員を割り当 てており、講師側も勉強になる。税務チームが調査官に扮して模擬税務調査などを行ったこともある。その効果もあり、 税務に対する意識は徐々に浸透してきたと思う。
(3)情報収集関連(レポーティングライン・ITシステム等)
(子会社からのレポーティング)
毎月又は四半期毎にレポートする項目(現地子会社の申告・納税状況、税務調査の状況、ペイロール等)をそれぞれ設 定し、情報収集を実施。
(海外子会社とのコミュニケーション)
税務担当者を介したグローバル・タックス・ミーティングを定期的に開催し、情報収集・事例の共有等を図っている。
(4)組織関連
(業績評価)
連結ベースの税引後利益での業績評価を導入したことで、営業部門であっても税の知識が必須となり、また自身の業績 評価にも影響するため、税務部門への照会が増加。他方で、営業部門の対応事項増加、新しい社内ルール導入の際 に関係者が多く決裁の手間増加といったデメリットあり。
(税務部門の強化)
税務部門は、以前は経理部の一部であったが、分離して部に昇格させCFOの直下に配置し、専門性と影響力の向上に つなげている。
<参考>経済産業省 国際租税のページ
(報告書本体)
http://www.meti.go.jp/policy/external_economy/toshi/kokusaisozei/ beps/2014report.html
(概要(本資料))